| こういう背景において、デ・ウィットはホラント州議会を中心とするオランダ政界を巧妙に指導して、オレンジ家が世襲して来た総督職をついに廃止してしまった。それは後述するように、デ・ウィットと、戦争を仕掛けてきたクロムウェルの思惑が完全に一致した結果でもあったが、デ・ウィットとクロムウェルの思惑の一致以外に、何と言っても本編の主人公ウィリアム3世が生まれたばかりの幼児であることがオレンジ家を支持する人々に不利であった。それにも増して、デ・ウィットの政治家としての大目標(抱負)が事の成り行きの決定的要素であった。その大目標とは、オランダにおける準君主的な地位としてオレンジ家が代々担って来た「総督職」を全く排除した「完全な共和体制」を確立するというものである。デ・ウィットの父や仲間は彼等のめざした完全な共和体制を「真の自由」と呼んでいたのであった。かくしてホラント州主導によるオランダ共和制が黄金時代を迎えるという展開となった。 |