丸屋 武士(著)
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(1985/11 撮影)
  建物の再建と同時期の1667年10月19日国王チャールズ2世によってノーウィッチ伯(Earl of Norwich)に叙せられたヘンリー・ハワード(後のハワード家第6代ノーフォーク公爵)は、同時に紋章院総裁(Earl Marshal)に任命された。この時以降、紋章院総裁職はハワード家の世襲職位と決められ、現在の紋章院総裁は第18代ノーフォーク公爵エドワード・ウィリアム・フイッツアラン―ハワード氏である。周知のようにノーフォーク公爵はイングランド公爵の筆頭であり、エジンバラ公やケント公等王族を除いた宮中席次が第9位(首相は第4位)であることからもイギリス社会における紋章制度の重みをうかがうことができよう。ちなみに、王族を除く宮中席次の第1位はカンタベリー大司教、第2位は大法官、第3位はヨーク大司教である。首相の次は第5位枢密院議長、第6位庶民院(下院)議長、第7位王璽尚書、第8位列国大使及び英連邦高等弁務官という順序になっている。日本人にはなじみのうすい大法官(Lord High Chancellor)とは、貴族院(上院)議長と最高裁長官とを兼任し、国璽を保管する役目をも担うイギリス特有の官職である。      <了>
(2003年8月)
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