意志力道場ウォークとは
意志力道場 設立趣意書
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1.惰性と幻想(虚飾と欺瞞)を捨てよう
 日本の歴史上50年間も戦乱がなく、しかも大幅な経済拡大が続いた時代は太平洋戦争後のこの50年間が最初にして最後ではないでしょうか。平成大恐慌とでも称すべき経済混乱とテロリズムと対決する世界戦争とが、はっきりと時代に区切りをつけました。

 少子高齢化という民族の大問題を解決し、経済の縮小化・空洞化を食いとめない限り日本社会は衰退に向かうこと確実であり、個々人の生活は厳しいものとならざるを得ません。未練はあっても高度成長時代の惰性と幻想を捨て、この現実を直視して、これまでの態度を修正し、個人としても民族としても自らを鍛え直す厳しい時代が到来したと言えましょう。

 水や安全がタダであるかのような錯覚は吹き飛んでしまい日常生活においてさえ絶えず心配、用心を怠れない世相となって来ました。経済環境は激変し、ローンの組換えどころか貯金あるいはその預け先さえもが心配になるご時世であります。また経済構造の変革速度は極めて速く、硬直的な姿勢や態度を捨てて、すばやく柔軟に対応できなければ個人も組織も生き残れない時代に我々は直面しているのです。良くも悪くも「心配・用心」、「貯金・貯蓄」、「柔軟性」等の言葉が今後の私たち個々人の生活指針としてのキーワードであるような気がします。

 何事であれ、問題解決の第1歩は、まず「その問題を直視する」ことであります。いかに耐えがたくとも、「現実を見据えて目をそらさない」ことが古今東西における「問題解決の鉄則」です。その為には当然のことながら、虚栄心、虚飾、偽善、欺瞞のたぐいは一切振り捨てなければなりません。

2.行動力の基としての意志力(継続は力なり)
 では、私たち個々人はどうすればいいのか。結局のところ政治(制度や法律)が怠け者を働き者に、浪費家を倹約家に、あるいは飲んだくれを節酒家に変えてくれる事はありません。『自立心』の著者サミエル・スマイルズも指摘するように、我々個々人が「自立心」あるいは「自助の精神 ― self-help」をもって自分を鍛え自ら努力するしか道はないのです。
 そして自分を鍛えるということは、精神的苦痛や抵抗を乗り越えて、感情や欲望の制御力を養い未経験の分野にも正面から挑戦できる「意志力」を作り上げていくということに尽きるのであります。
 「あの時どうして行動しなかったのか」、「何故あの時あの努力を止めてしまったか・・・」等々の思いは誰の胸にもいっぱいあると思います。問題は「意志力」であり、意志力こそ人生という事業をやり遂げるための大きな土台となるものです。明治5年刊行されたベストセラー『学問のすゝめ』において「一身の独立なくして国家の独立なし」というテーマを委曲をつくし、口をすっぱくして説いたのが福沢諭吉です。独立心の少ない人は愛国心もうすく、国民の一人一人が自立独立する道を持つ事が国家の繁栄につながるという主張でした。
 敢えて福沢を引用すれば「独立心とは、自分にて自分の身を支配して、他に依りすがる心なきをいう。自ら物事の理非を弁別して処置を誤ることなきものは、他人の智恵に依らざる独立なり。自ら心身を労して私立の活計をなす者は、他人の財に依らざる独立なり。人々この独立なくしてただ他人の力に依りすがらんとのみせば、全国の人は皆依りすがる人のみにて、これを引き受ける者はなかるべし」ということになります。
 そして、「独立する力」とは「行動する力」であり、その「行動力」の基は「意志力」であることを認識すべきです。こうしている今も、私達は毎秒30キロのスピードで宇宙空間を疾走しているのです。明日やろう、今度やろうではなく「今日必ずやる」、そして少しずつでも「毎日やる」あるいは少なくも1日おきに必ずやる。この精神的態度を確立することが平凡を非凡に変える道につながっていくのです。
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